しぬまでいきよう

しぬまでいきるオタクのなんでも日記です

SOLIDEMOメジャーデビューシングルを解釈する試み(長いです)

いろいろあって、先日ハイデガーの時間についての考え方に触れる機会がありました。

"時間芸術" といわれる音楽を楽しむいちオタクとして、そして、このブログで細々とが曲解釈を楽しんでいるオタクとして、その考えを取り入れながら楽曲世界に飛び込むことで、今まで聴いていたSOLIDEMOの楽曲世界とはまた違ったものが感じられるのではないかと思い、今回はメジャーデビューシングルに関する解釈において、流れている『時間』というものを意識しながら話を進めていくいことにします。

 

ここで、少しだけ時間の考え方について触れておこうと思います(絶賛勉強中の身でありながらこうして哲学的解釈を書き連ねることに妥当性があるのかはわからない...))さあいってみよー

序. 外在する時間と内在する時間(飛ばしていいです)

普段私たちが意識しているであろう時間は、私たちの外を、ある種自律的に流れているように捉えることが多いかと思います。過去、現在、そして未来へと流れていく時間のうえで私たちが生きているような感覚。過去・現在・未来はそれぞれ連続的でありながらも、私たちの日常においては切り離されているような感覚?というか。=外在的。

一方、ハイデガーは時間について『未来=到来』『過去=既在』と呼んで、時間を私たちそれぞれの内なるものとして解釈しています(あってる?)

未来は、自分の向かい行く道(=可能性)つまり到来するものとして現在の自分の内に存在している。また、過去は、自分の歩んできた道(=これまでの自分)であり、これまた現在の自分の内に既に存在している。つまり、既に引き受けてきた時間(=既在)とこれから自分に訪れ引き受けてゆく時間(=到来)の出会う場所が『現在』であり、その二つは自分を構成する内在的なものである、というのがハイデガーの時間に関する考え方だ、と私なりには思いました!いやめっちゃわかりにくいじゃん......みんな『哲学用語図鑑』って本読んでみてください...あと普通にハイデガーの『存在と時間』を読んで...(元も子もない)

以上、外在する時間と内在する時間についての記述でした。

それでは気を取り直して、楽曲解釈レッツゴー

 

 

1.THE ONE

1番

Aメロ(情景描写):現実感の想起、過去の思い出の想起=共感を生む効果

→ Bメロ(未来に対する心情描写):主人公の見ている未来を聞き手が想像・共有。

 一方、サビの直前で『Again』という単語が入ることで、『また(=Again)笑顔みせて』→今はまだ笑顔が見れていない→過去には笑顔を見ることができていた、と未来の描写の中に過去の描写を組み込まれていることがわかる。この歌詞構造によって、楽曲世界における時間軸に広がりが生じ、歌詞に表現されていない部分の世界に対する聞き手の想像が及ぶ範囲も広げていくことができる。うーん、なんとも憎い演出だ!(すきです)

→ サビ(現在に対する心情描写):主人公の現在の心情が強く表れている歌詞。聞き手に強く訴えかけてくる感覚で、聞き手を楽曲世界に引き込んでいく。

2番

Aメロ(情景描写):現実感の想起。また、楽曲世界においては言語化されていない主人公の心情が、歌詞として聞き手には言語化され表現されることで、主人公の心情と聞き手の心情がリンクし、内面的な共感を生み、楽曲世界への没頭・この後の展開への興味関心が促進されるのではないかと考える。

→Bメロ(未来に対する心情描写):1番Bメロ同様。また、2番では『抱き締める時間だけ 長くなってく』と、現在進行形的なフレーズで動作の描写がなされており、このことによって、リアルタイムな時間の流れが表現されており、主人公の抱える不安や葛藤に臨場感を与え、聞き手が楽曲世界をよりリアリティのあるものとして受け取ることを可能にしている。また、時間の流れを意識させることで次にくる展開を聞き手に予想させ、時間軸を楽曲世界という聞き手にとっての外在的な概念から、聞き手本人に内在する概念に近づけている=楽曲世界を聞き手の思い出とリンクしやすくする効果があるのではないかと解釈できる。THE ONEすげー!!(諸手をあげてほめたたえるスタイル:ちょろおた)

→サビ(現在に対する心情描写):1番同様、主人公の現在の心情が強く表れている歌詞。聞き手に強く訴えかけてくる感覚で、聞き手を楽曲世界に引き込んでいく。

→Cメロ(心情描写):主人公が抱えている不安を、比喩的にではなくはっきりと明言する初めての場面。(僕だって同じだけど→もう行かなくちゃ、離ればなれでも→一緒になれる、上手く言えない...→抱き締める、不確かなPromiseも→叶えていけるよ:というように、ネガティブ要素もその直後にポジティブ要素が加わっていたこれまでの歌詞と相違を感じる場面)

不安の明確な描写に引き続き、主人公が相手(=聞き手)に明確に語りかけていることがわかる歌詞が来ている。これにより、今までの部分で聞き手の想像内で展開していた楽曲世界が統合され、聞き手各個人の思い出などともリンクしていくことで、さらなる共感の効果が生まれると考えられる。(てかめちゃくちゃ古参ソングじゃない?素晴らしすぎて泣いたーっ)

→サビ:Cメロで、楽曲世界と聞き手の思い出のリンクが強く行われたことにより、1番・2番で歌われるサビ以上に、歌詞内での”誓い”がリアリティを増していく、と考えられる。くーっ、憎いぜSOLIDEMO。

 

 

 

2.Next to you

1番

Aメロ(情景描写):前半の『微笑みながら寄り添うふたり』で愛し合う平穏なふたりの姿が想像されるが、後半の文脈で、そのふたりの姿は過去のものであり、別れになく主人公の思い出の中である、と解釈した。また、『雨上がり』でポジティブ要素を想像させながらも、『人の波に逆らう度』でネガティブ要素を感じさせ、後半に続く『土砂降り』『雨に紛れて』『涙流す』からの『別れ話』『手を振りほどいた』で一気にテンションどーーーーーん下がり。泣いたーっ。しかもメロディがさわやかなのが憎い、めっちゃ青春じゃん、憎いっ!すきや!!!!!

→Bメロ(心情描写):誰に問いかけているのだとあなたは想像しますか?(という問いかけ)

→サビ(心情描写):B~サビで歌った心の弱い部分を『憧れ』と表現して、悲しみにくれる自分自身と向き合おうとする姿が描かれている

2番

Aメロ(情景描写):1番で歌われていた主人公自身の『弱さ』にここで『気づき』、それを明言した歌詞が歌われることで、主人公が悲しみから前進し次のステージへ向かっている姿がうかがえる。

→Bメロ(心情描写):悲しみに向き合い前進できたことで、思い出の中の『君』に向き合えるようになった主人公の姿がうかがえる。

→サビ(心情描写):自身の経験した悲しみに意味を見出し、同時に『君』と出会ったこと・別れたことに対しても意味や価値を見出そうとしている。

→Cメロ(心情描写):『未来へ繋ぐ』や『ただ「ありがとう」』というフレーズから、悲しみに暮れていた自分自身や別れてしまった相手のことを受容し、現在を生きる自分自身の一部として捉えられたことで、次に続くサビの中で自分の進んでゆく未来(=到来)について目を向けている姿が想起できる。

→サビ(心情描写):ネガティブに捉えていた過去を乗り越え、その過去を既在として現在の自分自身に内面化できたことで、次なる到来に向けて進んでいく主人公の姿がうかがえる。また、前半部分では後悔の意味合いが強く表れていたように感じる『約束』というフレーズが、後半部分では期待や夢といった意味合いの強い『約束』に変化しているように解釈できた。

全体として、この曲は情景・心情描写がどちらもほぼ時系列通りに進行しており、わかりやすい歌詞構造になっているように感じた。時系列が反転(例えば、未来→過去→現在)していたら、約束に関する後悔の意味合いが強調されて、素直になれない主人公の姿が見えたりするのかなあ...などと考えてみたりはした(特に意味はない)

 

と、このように一通り解釈して楽しんだ後「他界を検討しているオタクが一回考え直したいときに聞くための歌かな?」と思うなどした。もしくはもうすでに他界してしまったオタクへのはなむけソング?『君の事を 好きでいた 真実は いつまでも 変わらないから』って.............ねえ.....................(違います)(いろいろ台無しだよ)

 

 

 

3.メジャーデビューシングルに収録されているのがこの2曲であることの意味

上記の各楽曲別項目では、基本的には、時間を外在的なものとして捉えて解釈を進めてきた。

一方、『メジャーデビューシングル』という作品としてこの円盤を解釈しようとした時、内在的な時間の考え方を取り入れることで、THE ONEもNext to youも、単なる素敵なラブソングとしての味わいのみでは語りつくせえぬものがあるのではないかとここで主張したい。

それは、メジャーデビューシングルとしふさわしすぎるといっても過言ではない、『SOLIDEMOというグループが夢に向かってファンと共に進んでゆく姿を描いた楽曲』である、という主張だ。それも、楽曲発売当初の夢に限局したものではなく、SOLIDEMOというグループが積み重ねてゆくその歴史に呼応し、成長を続けていく可能性を大いに秘めた音源作品であるということだ。とんでもねえ~!

"THE ONE" で未来への希望、夢への誓いを歌い、"Next to you" では約束を果たせなかった過去を受け入れ前進してゆく姿を歌っている。未来を『到来』として内面化する"THE ONE"。過去を『既在』として現在に内面化する "Next to you"。その2曲が同時収録され、メジャーデビューという現実を作品に収めたものがメジャーデビューシングル『THE ONE』であると解釈するならば、SOLIDEMOがこの先も存在し続けるかぎり、そして、SOLIDEMOが自身らの夢に向かって進み続ける限り、この2曲の描いた世界はこれからリリースされる楽曲の世界の根底に流れる時間軸を成すだろう。さらには、これからのSOLIDEMOの活動自体を物語る舞台として、私たちファンの胸に鳴り続けるのものなのかもしれない。

 

今、THE ONEの中で歌われていた夢は、8人で武道館に立ち、その歌声を響かせることだろう。不確かな約束でも、僕らなら叶えていけるよ、と。笑いながら、泣きながら、そんな時間が絆を強くしていくんだ、と。そう歌いながらメジャーデビューを果たした彼らの姿は、きっと、とてもとても美しかったのだろう。これに関してはただただ当時のファンがうらやましい(新規コンプレックス出たー)。THE ONEマジ古参ソングじゃん泣いたーっ(だいすきです)

これから、この夢が叶ったら、次はどこへ向かうのだろうか。私たちの隣には、そして、彼らの隣には誰がいるのだろうか。一緒にいたあの頃が思い出に変わりゆく中で、また新しい夢を共に追い続けることができる、そんなファンでいたいと願う今日この頃である。SOLIDEMOに出会ってから、もうすぐ2年が経とうとしている。

 

THE ONE


SOLIDEMO / 「THE ONE」MUSIC VIDEO(Short ver.)

Next to you


SOLIDEMO / 「Next to you」MUSIC VIDEO(Short ver.)

 

p.s. 七三分けに戻してとは言わないから、せめて開けるボタンの数はこの頃くらいにまで戻してほしい(衣装担当さんは何を考えてますか?)

 

 

 

参考文献

 田中正人(著). 斎藤哲也(編・監). (2018). 哲学用語図鑑. プレジデント社.